競泳競技として最初の大会が行われたのは1837年のイギリスらしい。しかし、ここでは現代の競泳水着に至る歴史に焦点をあて、第二次世界大戦後からの競泳水着の変遷を見ていく。
64年東京オリンピック以前の競泳水着は綿から絹、ナイロンへ
戦後すぐから競泳用の水着というカテゴリーはあったらしいが、生地の素材は当初は綿、後には絹だったようである。しかし絹製の布地は繊維内に水分を大きく取り込んでしまうという欠点があった。着衣水泳のような感じになってしまうのだろうか。泳ぐにはあまりにも重くて大変である。
1960年ごろには当時としては最先端の素材だったナイロン製が登場し、64年東京オリンピックの公式ユニフォームとしてもナイロン製の競泳水着が使用されている。
このナイロン素材。当時の編み方では横には伸びやすいものの縦には伸びにくく、フィット性に欠けていて脱着がしにくいという問題点がを抱えていた。その結果、首回りを大きく開けたデザインになったようである。しかし、これでは水が入り込みやすく抵抗も大きかったと考えられる。ちなみに、色は紺色で、カットは後のスクール水着の原型になるほどローレグであった。
1976年のモントリオールオリンピックの頃にポリウレタンが登場し、ナイロン80%、ポリウレタン20%の混合撚糸で縦横両方向への伸縮がしやすくなった。肩甲骨を避けたY字の肩ひも形状になり、首回り部分の空きも小さくなり、腕の動きやすさも格段に上がったようである。カットは今の感覚で行くとまだまだローレグである。
1976年 モントリオールオリンピックの公式ユニフォーム(競泳水着)
多くの人がイメージするハイレグ型競泳水着の原型となった80年代
1984年のロサンゼルス五輪では、水が背中に滞らないように、背中に開口部が出来た。ストラップで肩と脇腹の部分をX字状に結んだ、今ではおなじみのスタイルである。レーシング・バックやフライ・バックと呼ばれていた。カットは以前のモデルと比べてややハイレグになってきたが、現在の感覚ではまだかなりローレグである。
現在の競泳型スクール水着よりもローレグである
1988年のソウル五輪では、極細のナイロン糸とポリウレタン糸を高密度に編み上げた新素材の生地が登場する。この新素材により伸縮性は従来生地に比べ約 2 倍になった。このため、水着が体にピッタリとフィットするようになった。
1988ソウルオリンピックの公式水着(競泳水着)
「競泳水着の歴史 その2」に続く。